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今日もバスで

今日も上州地方へ行くので昼過ぎには支度をして出掛けた、数日分の肌着やら靴下やシャツなぞの着替えを持っているので荷物が多く動きが緩慢になってしまうから、駅での乗り換えも余裕の時間を見て乗り継いで行くことにした。

途中の所沢の駅にて遅い昼食を摂る事にして立ち食いの蕎麦店へ這入った、この店は駅の改修工事が始まったときに閉店廃業とされて、駅が新しくなっても再開しないで女子供向けのちゃらちゃらした店或いは安物を高く売りつけるお高く留まった婆さん好みな店ばかりになってしまって詰まらないこと甚だしい、西武鉄道は駅を新しくする度に立ち食いの店を追い出してこの様な詰まらない店ばかりにしてしまうと、以前の日記で嘆いていたら同じように思う人が多かったもようで、「ご利用客の皆さまの強い要望により再開」と云うことになった。

掛けの蕎麦を注文して月見にしてもらって、出された丼に玉子の黄身がきらりと照明に光り、熱さで少し白濁した白身がふわりと雲の様、更に黒いつゆが夜空の様に見えて月見そばとは善く言ったもの、英語で云えばムーンライトと云った処か。

そばを頂き腹が駆逐された処で電車を乗り継いで行った、外は大変に善いお天気でどこまでも青い空が広がる、電車が高台を通ると遠くの山並みもはっきりと見通せて、仕事ではなく私用でお楽しみな列車に乗りたいと思う処、幾つも電車を乗り継いで田舎の単線駅へ着いた、バスの時刻まで十七八分ほどあるので、駅の改札脇にある長椅子へ腰を掛けて緩っくりしていたら、寒いと云うのに蚊が遣って来てしつこくまとわりついて刺す、払っても払っても次々に幾疋も遣って来て幾箇所も刺されてしまって痒くて腹立たしい。

仕方が無いものは仕方が無いのでバス停へ行き荷物を長椅子へ置いてバスを待っていたら、矢張り蚊がしつこく遣って来る、蚊を追っ払っていたら遠くから、どんどこ、どんどこ、と太鼓の音と笛の音が聞こえる、それで子供の頃の出来事を思い出した。

夏休みの暑い夕方に神社の方から笛や太鼓の音が楽しそうに聞こえて、然し祭りは無かったはずと不審に思いながら近寄ってみると、果たして誰も居なくて薄暗い社の境内へ這入ると途端に音が途切れた、怖くなって全速力で駆けて幾度も転んで泣きながら帰ったという事を思い出して、あれは果たして現実だったのか夢だったのかは今となっては判別はできない、よく考えてみれば当時の住まいの近辺に神社なぞ無かったから、夏休みの白昼夢を何故か鮮明に記憶しているに過ぎないのか知ら。

太鼓と笛は百メートルほど先の広場で煌々と明かりを灯して演奏を遣っていて、大勢の見物人が眺めているからこれは白昼夢なぞではなく現実のものに違いない、蚊と闘ったり笛太鼓の事を考えている内にバスが遣って来た。

バスは今日も私一人を乗せて夕暮れの風景の中を走り出した、遠くの山並みの向こうはまだ幾らか赤く明るく昼の余韻が残っている、中扉脇の席へ座ると前方も善く見えて、反対側を行く自動車の前照灯がずらりと並んですれ違って行く、やがて国道から県道へ這入ると自動車の数もめっきり減って、街灯が無いので前方はバスの前照灯だけが頼り、時折にすれ違う自動車の前照灯が深海で出会う魚の目のような感じがする、車内には停留所を告げる放送が次々に流れても乗り降りする人は居ない、と思ったら半分ほど行った処で珍しく若い女性が乗って来た、両手にたくさんの柿を持ちリュックを背負って大変な事だと思う、彼女は席へ座ると窓辺へ回数券を取り出して並べたので、この路線をよく理由する模様、いつも日曜日の最終便を利用するから誰も乗っていないのであって、総合病院を経由するのもあるし、もしかすると平日の昼間は利用客が多いのかもしれない、そしてバスは笠が谷戸と云う、えらく寂しいバス停へ着いたので降りた、仮住まいまではあと一キロメートルほど、周囲は畑ばかりで道は真っ暗だから懐灯を照らしながら歩いて行くことにしよう。
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