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冷たい日

上州地方の訪問先の会社を左様ならと辞したのは夜の七時も過ぎてからで、会社の外壁に掛けられていた寒暖計をみたら氷点下二度を示している、しかも上州名物の空っ風やら赤城颪と呼ばれる猛烈に冷たくて強い北風が吹きつける、ぶるぶると震えながらすっかり夜の帳が降りた真っ暗な道を歩いてバス停でバスを待った、前の日に積もった雪はそのまま残っているし農家の庭先に並んでいる睡蓮鉢はかちんと凍っている、その氷を指で押してみたけども岩塊の如くに硬い。

時計を観たらバスが来るまでおよそ五分、冷たい北風に震えながらバスを待ちながらバスよ早く来いなぞと念仏のように唱えてみても、時刻にならなければバスは遣って来る筈も無い、ふと空を見上げたら三日月が掛かりたくさんの星もきらきらと輝いている、我が家の地方で観るよりも星がいっぱい出ている、寒いのも忘れて見上げていたらバスが来て止まって扉ががらりと開いた。

バスには高校生の女の子が三人と会社帰り風の男性の四人が乗っていて、高校生は駅までの停留所で降りてしまって会社帰り風の人は駅の一とつ手前の停留所で降りたので、駅で降りたのは自分一人だけとなった。

改札を通って乗り場へ行き再び冷凍庫の如くに冷たい風に吹かれながら列車を待つ、次の列車は七分後、再び空を見上げて星を眺めようとしたけども乗り場の屋根や駅前は照明が多い所為かよく見えない、つまらないなと思いつつ持参した文庫の本を読もうとしても、本を持つ持つ手が冷たくて出していられない。

遣って来た海岸行きの列車はがら空きで席は選り取り碧、真ん中の四人掛け箱席を一人で占拠して窓辺へ座った、暖房が強力に点いているから足首から暖かくほわりとしてくる、手も冷たいので下へ伸ばしてしばらく暖めた、それで少し落ち着いた処で持参した茶の残りを飲み、茶の瓶を窓辺へ置いて文庫の本の続きを読み始めた。

いつのまにか寝入ってしまったもようで、気がついたら向かいに相撲取りのような大きな男が座り腕を組み目を閉じてイヤホンで何かを聞いている、そして大仏の如くに微動だにしない、どこら辺を走っているのだろうと目をこらしてしばらく眺めていたら京浜東北線の南浦和駅が見えたので一時間近くも寝込んでいたらしい、いろいろと気疲れする事も多し夜も仕事でしくじる夢を観て激しく草臥れる事も多いので、緊張の糸が緩んだのかもしれない、窓辺へ置いていた茶を飲んだら冷蔵庫へ入れたかのように冷たい、窓ガラスへ触れると隙間風は無くてもとても冷たく空気が乾いている所為か曇りも無い、さらにしばらくすると川を渡って小さなトンネルを通ると池袋の駅へ着いた、時刻はすでに十時に近いので夕食は簡単に駅の改札にある軽食堂で掛けソバを食べてそれでいいことにした。
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